大学生活ももうおしまい。
ところで受験生のころの話って需要あるかな?
とりあえず書いてみようと思います。
ありがとう!
なんか緊張するなw
俺の名前はタロウってことにしとく。
俺はまぁまぁの進学校に受かってさ、お母さんとか大喜びだった。
「すごい…すごいよ、タロウ!」
ウチはあまり裕福とは言えない。
父親はバイクショップの自営業で、お母さんはパートだ。
それでも「なんでも好きなもの食べさせてあげる!」と言って
へそくりですんごい高いステーキを食べさせてくれた。
あれは最高に柔らかくて美味しかった。
新聞部はゆるゆるの部活だった。
そこで柏木という親友ができた。
「なぁタロウ、女子校の文化祭行こうぜ!」
1年のとき、俺たちは知り合いが1人もいない女子校に突撃した。
1年生がメイドカフェをやっている教室に入り、ジュースやお菓子を食べていると、
かわいい女の子が声をかけてくれた。
胸には‘‘みき’’と書かれた名札をしている。
テンションが高くなってた俺は「似合ってるね~!」と言うと
「ありがとうございます、ご主人さまっ!」と元気に返してくれる。
「まっ!」をがんばって言ってる感じがかわいい。
そのあと俺たちは男子校だと教えると、
「ウチの高校にだれか友達とかいるんですか?」と聞いてきたので、
「ああ、2年生に知り合いがいるんだよね」と言っておいた。
そのあと、男子校はさみしいという話になり、
柏木が「俺たちにも、みきちゃんみたいな女友達が欲しいな~」というと女の子は笑った。
「キレイなOLいるんじゃね?」って理由だけで丸の内を散策したり、
渋谷の109に男2人で入ったりした。
でかいアウトレットで朝からナンパして、やっと夕方に女子高生を捕まえてミスドを食べたり。
でもそんな楽しい日々も長くは続かなかった。
1年の1月、俺はボウリング場でバイトを始めたんだ。
新聞部ってのは普段はヒマで漫画ばっかり読んでるんだけど、
新聞を発行する直前はすごく忙しい。
部長は、「タロウはバイトしてるから、負担を減らそう」と言ってくれた。
「悪いな」と思ったけど、甘えた。
バイト始めたばっかりだから、仕事を覚えるためにシフトを多くしたかった。
1年おわりの春休み、新入生向けの新聞を準備するというクソ忙しいとき、
俺は相変わらずバイトに精を出していた。
経済的に困ってるとかの理由はない。
ただバイトが楽しかったからだ。
部長は「まぁタロウは、バイトしてるし……」ってなって、また俺の負担は減った。
また俺はそれに甘える。
こうなると、新聞部の人たちは俺を信頼しなくなる。
発刊の時期はもちろん、ヒマな時期も部室で居心地わるく漫画を読んだ。
まず柏木以外の人が俺を避けるようになった。
やがて、柏木も俺とやや距離を置くようになった。
俺はバカだから、ここで初めて自分がみんなの信頼を失うことをしたと気づく。
でももう遅い。
部活をやめてしまった。
新聞部をやめると、高校が一気につまらなくなった。
俺は実はクラスの人たちとあまり仲が良くなかったんだ。
なにかっちゃあ、新聞部でつるんでたからなぁ……
喋る相手にも困るような高校生活が続いた。
さらに2年1学期の期末試験のあと、俺は数学の先生に呼び出された。
「タロウくん、もうちょっと頑張れないの?」
期末の範囲は三角関数だった。
「君、4点だよ。」
「ああ…そうですか…」
予想どおりだった。
数学は極めて苦手だった。
学校が楽しくない時期に、数学なんかやる気にならんわw
「夏休みに補習するから、それまでにこの課題やっておいてね。」
先生はプリントの束を「パンっ!」と俺の手のひらに乗せた。
プリントは10枚くらいあった。
そんなある日、ネットで高認のことを知った。
「へえ…」
高校をやめても大学に行くルートがあるわけか…
新聞部には戻れない…
柏木はもう遊んでくれない…
クラスに友達はいない…
数学の課題はめんどくさい…
そのあと2日くらい考えて高校をやめることにした。
やめるに当たり、お母さんと揉めた。
「ううう…うううっ!…ううううっ……」
怒鳴りあいのケンカもした。
最終的にお母さんを泣かせ、お母さんが折れて中退が決まった。
1日10件とかのレベルだ。
俺はそれを全部無視した。
メールにはこういうことが書いてあった。
「中退したって、本当なの!?」
「もしかしてクラスで何かあったの!?」
ずっと無視してたら、柏木からのメールは来なくなった。
でも数日後、またメールが来た。
「俺にくらいちゃんと教えてくれよ!」
「お前とまた遊びたい!」
柏木……
ここまで本気で心配してくれる人は柏木の他にはいなかった。
柏木と遊んだ楽しい毎日が頭の中で再生されて、泣いた。
「かしわぎぃ、、、ううう、、、」
中退するということは俺にとっては軽く決めたことだった。
だけど実は軽くなかったんだ。あとになってそれに気づく。
「柏木ぃ……かしわぎぃ…ううぅ…」
でも柏木に返信したり、電話することはしたくなかった。
こんな自分が恥ずかしい。
柏木に怒られるような気がして怖かった。
それに中退はもう決まってしまった。
柏木のところには帰れない。
俺は柏木に最後のメールを作成した。
「今までありがとう」という旨をメールした。
高認は確か10科目くらい試験を受けなくてはいけないんだけど、
俺の場合は現代社会と世界史だけで済んだ。
1年の時に他の科目は授業受けてるから、免除された。
(なんだよ…楽勝じゃん…)
正直なところ、現社も世界史も高校入試の時の知識だけで足りた。
(こんなんで高校卒業程度……)
1年で高校をドロップアウトして、たった2科目で高卒認定w
なんとも安っぽいハナシだと思ったw
すこし時間を遡る。
さっきも書いたけど、俺は新聞部だった頃にボウリング場でアルバイトを始めた。
高校1年の3学期だ。
そこには佐藤さんという21歳のフリーターがいた。
かなりキレイな女性だ。
「はーい、じゃあタロウくん、今日はお疲れ様~」
佐藤さんは21歳にして高校生とか大学生の新人に仕事を教える若手のリーダー的な存在だった。
新人で研修期間中の俺が答える。
「お疲れ様でした~」
「タロウくん、次いつ入れる?」
それはもちろん…
「佐藤さんがいる時でお願いします!」
佐藤さんは微笑んで聞いた。
「え~、なんでよ?」
俺は冗談ぽく答える。
「佐藤さん、仕事教えるのうまいっすよね~。ぜひともまた教わりたいなぁ」
佐藤さんはめっちゃ爆笑していた。
「ぷっ!ごめん、ちょっと気持ち悪い!」
「うーん、本心を言っただけなんすけどね?!」
「きもーーーwじゃあ△日でいいかな?」
俺はこうして佐藤さんに懐いた。
平日の夜なんてお客さんはあまり来ないけど、その日は団体予約でのレーン占有率が80%を超え、
さらにマシントラブルなども重なり、一般客を待たせる非常事態だった。
「2名様でお待ちの、ヨシダ様、ヨシダ様。レーンをご案内しますので受付にお越しくださいませ。」
俺はマイクを持ってアナウンスした。
「ヨシダです。」
やってきた大学生2人組から料金をもらい、レーンを案内した。
彼らが投球を始めた後のことだった。
「おい、お前ぇ!」
「は、はい、何でしょう?」
50代くらいか?サラリーマン風の3人組がいきなり俺を怒鳴った。
驚いて少し萎縮してしまった。
「あいつらより、こっちが先だろうが!」
「え??……ええ??少々お待ちください!……」
しまった!ヤバイことをしてしまった。
受付の順番を確認すると、確かにあの大学生よりもこのおじさんたちの方が先だった…!
俺のミスだ。
「自分のミスです!申し訳ありませんでした!」
そう言って頭を下げてみたが、ダメだった。
「あいつらを止めさせろ。で、おれらをそこのレーンに入れてくれよ。」
「いえ、それはできません……」
大学生はもう投げている。
彼らに迷惑だ。
「ああ!?なんだとぉ!?このクソガキぃ…」
このおじさんたちはしばらく受付を離れず、ずっと文句を言われた。
時々、場内に響かんばかりの声で俺を怒鳴る。
その時、先輩は3人。
1人はレッスン対応、
もう1人はフードコーナーでポップコーンやドリンクの調理に追われている、
そして佐藤さんはレーンのメンテナンスをしていた。
「申し訳ありません!」
「それで済むかや!!クソガキ!」
ただ1人でひたすら謝ってた。
本当ありがとう!
少し不安だった(笑)
「お客様!どうなさいましたか?」
「ああ、あんた、いつもいる姉ちゃんだねぇ…」
「はい、どうされましたか?」
「こいつがさぁ…」
佐藤さんはお客さんを受付から少し離れたところに導き、苦情を聞いてくれた。
その間、おれはボウリングを終えたお客さんの会計をしなくてはいけない。
佐藤さんが「あんたの教え方が悪い」とか言われてるのが聞こえる。
会計の処理をするも、気になってしょうがない。
最終的にお客さんは収まった。
おっさんたちは「あんたも、自分のミスじゃないのに謝って大変だねぇ?」
と佐藤さんに言ってて、
ちくしょう、
ちくしょう、、と思った。
佐藤さんが1ゲーム無料券をお客さんにあげて、場は収まった。
お客さんの数が落ち着いてきて、俺と佐藤さんは受付で立っていた。
「んーー?何のこと??」
「え??」
「いやあ、何のこと??」
佐藤さんはすっとぼけた。
「あの、これからは気をつけます!」
「ふぅ、ま、ミスは誰にでもあるからね。大丈夫。気にしないで。」
そして俺が着替えを終えて帰るとき、佐藤さんに声をかけられた。
「あ、タロウ、ちょっと」
「はい、なんですか?」
「これ」
佐藤さんはフードコーナーからハッシュポテトを持ってきてくれた。
「これ余ったから。あげるよ。元気だせよっ!」
「シフトは佐藤さんと一緒の時が一番楽しいなぁ」
「はいはい。あ、7番レーン、さっさと片付けてきて。」
俺は高校中退して、佐藤さんはフリーター。
しょっちゅうシフトが一緒で仲良くなった。
俺はジャンプが好きでバックヤードではよく読んでたんだけど、
「読ませてよ」とか言ってよく佐藤さんも読んでた。
彼女はスケットダンスとかジャガーさんとか、ほのぼの系が好きだったな。
彼女と話すことは、高校中退して人付き合いが無かった俺にとって唯一の楽しみだったかもしれない。
しかし、それは長く続かなかった。
そいつが佐藤さんのことを好きになった。
で、そいつは佐藤さんにセクハラまがい発言をしたり、
仲良かったりする俺が気に入らなかったらしい。
問題にならないようなミスや、少しでも作業が非効率ならばいちいちそれをつついてくる。
「あったまわりぃな、オメエはよォ!」
そしてネチネチネチネチと説教だ。
バイトの他の人は「大丈夫か?」って心配してくれたりもした。
この新店長が憎たらしいのは、俺に対する嫌がらせを決して佐藤さんの前ではしないことだった。
俺にしても、佐藤さんに相談しづらかった。
やがておれは新人の前でも店長にバカにされるようになった。
それが引き金になりバイトをやめた。
そろそろ受験勉強もやらなくてはいけない。ちょうどいいじゃないか。
高校にまだ通ってれば2年の1月という時期だ。
ユニフォームをロッカーに置いたまま、バックれた。
数日後からボウリング場と佐藤さんのケータイから不在着信が嵐のようにやってきた。
俺はそれを全て無視した。
ボウリング場のバイトをやめると、朝日新聞にはその年のセンター試験が載っていた。
高校中退をしていなければ2年の1月という時期だった。
(もう1年しかないんだな……)
実は中退するとき「もし大学に行くなら国立しか認めない」とお母さんに言われていた。
「中退なんて、勝手なことしてるんだから国立しか認めない!」
というのがお母さんの考えだった。
(なんだその理屈は)と思ったが
当時はとにかく高校をやめたかったので「わかったよ」と言った記憶がある。
ともあれ、超苦手な数学を解いてみると1Aも2Bも5点とかだった。
俺は数学以外はまあまあなんだけど。
その結果をお母さんにみせて、私立文系はダメかな?と聞いてみる。
すると「自分の言葉に責任を持ちなさい」と冷たく言われた。
不貞腐れた俺は2月はニートのような生活をした。
2chを見たり、深夜のコンビニで立ち読みをした。
3月になり、(流石にヤバイ、数学を勉強するポーズだけでも見せるか)と思って塾に通うことにした。
授業形態が少し特殊なんだ。
教室の中には6人くらいの生徒と2人くらいの先生がいる。
生徒は好きな問題集を解いてわからないことがあれば先生に聞きに行く、という塾だった。
そんな塾だから先生も毎回変わる。
だけど俺はイケメン先生(仮)に面倒を見てもらうことが多かった。
授業前に教科書(たしか東京書籍かな)をといて、
授業が始まればイケメン先生に質問する。
現役一橋大生のイケメン先生の説明はわかりやすかった。
授業後はイケメン先生が用意してくれた類題とかを復習する。
これの繰り返しでまずは2次関数を勉強した。
イケメン先生と俺はだんだん仲良くなり、塾の中ではバディみたいになっていた。
授業中、イケメン先生の他に女の先生がいることを発見した。
(おおお…かわいい…)
女の先生は白いブラウスに黄色いスカートをサラッと履いているみたいな着こなしなんだ。
塾の規則で男の先生はスーツ、女の先生は控えめなものと決まっていた。
おれはこういう清楚なファッションに弱い。
くそ!なんで俺の先生はイケメンなんだ!
観察していると、女の先生は理系だとわかった。
生徒たちが化学やら生物の質問をしている。
ああちくしょう!
どうせなら女の先生に教わりたい~~!
でも、
「タロウくん、それ終わったら次このプリントやろうか」
とかイケメンがかまってくる。
女の先生に質問に行けないじゃないか!
だけど次の授業もその次も
女の先生の他にイケメン先生がいて、そのせいで質問に行けない。
ああちくしょう、つまんね~
そんなある日、イケメンが他の生徒の質問に追われ、女の先生がフリーという状況があった。
チャンスだ!
俺は東京書籍を片手に、コソコソと女の先生の席へ近づく。
イケメンをチラチラと警戒しながら、ゆっくりと女の先生のもとへ…
「こんにちは…タロウと申します…」
超小声で、女の先生に話しかける。
女の先生が苦笑いするのがかわいい。
「ここ、わからないので教えてもらえませんか…?」
「えっ?イケメン先生に聞かなくていいの?笑」
くぅ~!
声がかわいい!
「実はですね、前回イケメン先生とケンカしまして…(嘘)質問しづらいっていうか…」
「あははw」
女の先生は苦笑いしながらも、対応してくれた。
「どの問題がわからないの?」
ああもう、俺のノートに説明を書き込んでくれる、その白くて小さな手がかわいい!
キーンコーンカーンコーン!
授業が終わった。
教室を出る時にイケメンが
「今日なんで俺のところに質問こなかったん??笑」
というので「おつかれさまでしたー!」というと「おつかれ笑」と言われた。
本当は朝に自習室とかいちゃだめなんだけど、塾長が特別に認めてくれた。
数学以外はまあまあだけど、数学がとにかくアカンから、勉強時間の半分は数学だった。
ある日の授業。
「俺の科目で誰か質問ある人いる~!?」
イケメンが教室に呼びかける。
「タロウくんは?数学の質問ないの?」
「ありません」
「え?でもさ、手が止まってるけど?」
「いいえ、ありませんよ」
「そうか…」
直後、女の先生が他の生徒の質問に対応し終え、
「手が空きましたー。私の科目で質問ある人いますか?!?」
と呼びかけたので、俺は勢いよく席から立ち上がって
「はいっ!はい!数学の質問があります!!」
イケメンが「おい!www」とキレてるww
女の先生はウケてくれた。
「この問題がわかんないんすよ~教えてください!」
この女の先生は木下ひかり先生という。
お茶の水女子大の1年生だと知った時にはびっくりした。
俺の一個上じゃないかw
ともあれ、俺は木下先生になついていった。
ありがと~!
もう少し書いていく
「はいはーい!質問がありまーす!」とか普段の調子でやってて、木下先生もいつも通り苦笑いだった。
すると別の女の先生が「木下先生のストーカーしてるのはあんたか!」と言ってきたので、
「ちちちち、ちがいます!」と反論すると、
「いいよ、数学でしょ!?私が教えるから」となった。
えええええ!やだよお!
とか思ったけど、いや…
この先生もなかなか綺麗じゃんか……
だから平日の朝は本来空いていないんだ。
塾長が俺にだけ特別に自習室を使うことを認めてくれ、カギをくれた。
そんなワケである日の朝、いつものように自習室でひとりで世界史をやっていたと思う。
すると「コンコン」とノックする音が聞こえた。
「はい!」と返事して、誰だろう?と思うと、木下先生だった。
「今日は午後からだから」
木下先生はそう言うとカバンの中から紙袋を取り出した。
「はいっ、これ使ってみて!」
「え?なんですか?これ?」
紀伊国屋の紙袋を開けてみると中には参考書が入っていた。
数学の「面白いほどシリーズ」だった。
「タロウくんいま教科書で予習してるけど、
たぶんそっちのほうが説明がわかりやすいと思うよ!」
「わざわざ買ってくれたんですか!?」
“図形と方程式”が面白いほどわかる本、ってタイトルだったはず。
「まぁ、ためしに使ってみてね、がんばれっ」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃ、またね!」
そういって先生は帰っていった。
正直うれしかった。
すごくうれしかった。
その本を机の片隅において世界史の勉強に戻った。
だけど木下先生がわざわざそこまでしてくれたのが嬉しすぎて
世界史に集中できなかった。
どうしてもチラチラとその本を眺めたり、読んだりしてしまう。
ニヤニヤしていたと思う。
「先生は教えるのうまいなぁ」とか言うと、先生は苦笑いする。かわいい。
ボウリング場の佐藤さんが「はいはい。あっそ。」
とか言ってあしらってくるタイプだったのとは対照的だった。
もはや木下先生としゃべったり勉強したりするのはモチベーションだった。
だからか、受験勉強も順調に進んだ。
かつて新聞部の柏木やボウリング場の佐藤さんと仲良くなったように、
毎日は楽しかった。
ゆうきという友達もできた。
「タロウはいいよな~!木下先生に教わってるなんてさぁ」
ゆうきと俺は悪友だった。
2人で木下先生のことを勝手に妄想した。
「御茶ノ水だから彼氏はたぶんいないだろ?」
とか
「木下先生とデートしたい」
とかね。
俺は自習室での勉強を切り上げ、ゆうきと合流した。
家が同じ方向だから、これからチャリで帰宅する。
駐輪場で少しだべってた。
まっすぐ帰るか、コンビニ寄るか俺達は考えていた。
すると「あ、タロウくん、お疲れ様~!」
と言って、木下先生が塾から出てきた。
彼女のとなりには男がいた。
「ほう・・・」
たしか文系の先生で、砂川先生という。
木下先生たちは俺たちの前を通り過ぎ、駅のほうへ歩いていった。
ゆうきが「あれさ、仲良すぎじゃね?怪しくね?」
というので、「怪しいっすね」と返した。
ゆうきが「ストーキングしようぜ」というので、
「するしかないっすね」と返した。
実際、歩く後ろ姿はかなりイチャイチャしているように見える。
あやしすぎる!
俺達はチャリを放り出して、木下先生たちのあとを尾行した。
柏木とつるんでた頃はまだ許せたがイケメン先生から女に乗り換えた所は特にくそだわwww
「ふうん・・・」
尾行しながら、ゆうきが教えてくれた。
「あっ!肩と肩がぶつかった!」
「おいおいおいぃ・・・」
どんだけイチャイチャするんだあいつらは!
別に木下先生と付き合えるなんて思っちゃいないけど、
なんか砂川先生と付き合ってるとか考えると「イヤだな」と思った。
「ちくしょう!・・・あの青学ヤロウ!」
木下先生たちは駅に入っていった。
よしよし、順調だ。
あとは普通に電車に乗れば、まぁあまり問題はないだろう。
木下先生たちはJRの改札を通り過ぎた。
「ん?私鉄かな・・・?」
でも違った。私鉄でもなくて、駅の2階へ上がっていった。
ゆうきが言う。
「おいおい、2階に上がっていったぞ・・・」
ちょっとまってくれよぉ!
2階って、そこへ上がったらもうレストラン街しかないぞ!!!!
ゆうきが尋ねてきた。
俺が知るかよ。
2人が2階へ上がっていってから、5分くらい俺とゆうきはブツブツつぶやいていた。
ゆうきが「とりあえず俺らも2階に上がってみようぜ」というので
同意してエスカレーターに乗った。
レストラン街に到着。
8つほどのレストランがある。
「こういう場合はイタリアンだろ!」とかゆうきが言うから、
まずパスタ屋を除いてみる。
すると、木下先生と砂川先生がいた・・・・・・
気づかれないようにガラス窓の外から2人の様子を見る。
スーツを着た砂川先生。
高身長で似合ってるじゃないか。
さすが青学。
木下先生も楽しそうだった。
俺とゆうきはフロアにあったイスに座り、またブツブツとつぶやきあった。
「なんかおれ、勉強する気なくなっちゃったよ・・・」
「わかる笑」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・もう帰ろうや?」
「そうだな・・・・・・・」
砂川先生とイチャイチャしているのを見なければオーケーだ。
「ちゃっす!先生は今日もステキっすねw」
とか言うと困りながら苦笑いする木下先生を見るのが楽しみなのだ。
木下先生は俺に数学の勉強計画を立ててくれた。
大体こんな感じだったかな?ウロ覚えだけど。
3・・・2次関数
4・・・三角比
(ここまではイケメン)
5・・・図形と方程式
6・・・三角関数、指数対数
7・・・微分、積分
8・・・復習
まぁこういう感じでざっくりと計画を立ててくれて、
「面白いほど~」で宿題を出すときもそれに沿ってくれた。
数学以外にも英語国語世界史とやることはたんまりあったから、
木下先生がペースを管理してくれたのはありがたかった。
どんどんと先生の出す宿題の量は増えていった。
大体、こんな感じでメモ帳の切れ端に書いてわたしてくれる。
“指数対数 theme4~10まで予習”
“今日やった、図形と方程式 theme12~20まで復習”
“プリントにしたセンター試験の 「2次関数」「3角比」を40分で解いてみること”
“次回、図形と方程式の小テストします”
(※適当だからね。例えばこんなんだったよっていうかんじ。)
俺が勉強するのは数学だけじゃない・・・・・・
世界史だって未習範囲だらけだし、古文漢文、生物なんかだってある。
正直なところ、増え続ける数学の課題をこなすことは苦しくなっていた・・・・・・
本当にムリだった。
「お疲れサマっす!」
「はい、じゃタロウくんはこの小テストやっといてね」
先生が用意してくれた小テストを見る。
宿題の範囲だ・・・やってないからできない・・・
「あの、木下先生・・・」
「うん!なに?」
「すいません、この部分宿題まだ終わっていなくて・・・できないです」
すると先生は表情をなくした。
真顔で俺を見る。
俺はドキっとした。
彼女が俺をみる表情は、ゴミクズを見るそれに感じられたからだ。
「・・・・・・・・」
先生は少し押し黙ったまま、何かを考えているようだった。
緊張した。
俺の手には先生の作った小テストがあった。
「じゃあそれ、返してくれる?」
「え?・・・・・・あ、はい。」
先生は俺が握っていたプリントを抜き取った。
「それじゃ、タロウくんは、席座って、自習してていいよ」
「・・・はい・・・すみませんでした・・・」
周りの人はどうも思っていないだろう。
でも俺にはわかった。
木下先生は俺に冷たい態度を取った。
普段とは違う、冷め切った態度だった。
俺は仕方なく授業中に自習を続けた。
心はソワソワして落ち着かなかった。
見てくれる人いたっぽいですね。
すまないが残りは明日にしてください・・・
卒論は出したんだけど、明日軽めの授業のテストがあるんすよ
勉強します・・・
明日スレあったらまた書きますね!
今帰りましたw
11時ころから書けると思います。
>>44~>>57の人ありがとうございます。
少々おまちください。
おう!風呂でも入ってゆっくりしてこいよー
木下先生に冷たくされ、
心がそわそわして勉強がはかどらない。
先生はわざわざ小テストを用意してくれた。
でも俺はそれに取り掛かる予習さえしてこなかった。
だから木下先生は怒っていると思う。
でも正直なところ、先生の要求が厳しいのも事実だ、と思う。
さすがに数学にばかり時間を割けない。
(しょうがないじゃんか・・・)
(なんだ、この空気は・・・)
少し混乱した俺は、「面白いほど」から適当に問題を選び
木下先生に質問してみることにした。
なんでもいいから喋って落ち着きたい。
「先生、質問いいっすか!?」
「・・・あ、うん!・・・」
ああこの問題ね・・・・・・
まずここに書いてあるように・・・・・・
まあポイントはこれかな・・・
「それじゃがんばってね」
このセリフを言う時に、いつものような微笑はない。
ただ無表情だった。
間違いなかった。
高校に通っていないので当然塾に行った。
自習室で勉強した。
数学以外を。
数学は道具は持っていったけど、本を開く気にならなかった。
やっぱり俺って数学アレルギーなんだよ基本的に。
もっとも初歩的に書かれている参考書を先生が用意してくれて、
先生がペースメーカーと質問対応をしてくれて、
それでやっと勉強が進んでるんだよ。
木下先生におんぶにだっこだ。
叩かれるの覚悟で言うと、
ぶっちゃけ数学なんぞエ□心だけでやってるに等しい。
数学がない分、その日の勉強は普段より2,3時間早く切り上げて帰ったのを覚えている。
家に帰って、夕食をとるときにお母さんに主張した。
「文系だと私立はそんなにお金がかからない」
「数学を捨てれば、英語や国語や世界史に2倍くらいの勉強時間を注げる」
いろいろと主張してみたが、ことごとく却下された。
「そういう問題じゃないの!」
お母さんはあきれるように言った。
「中退するときに、“大学いくなら国立しか認めない”って言ったら、
お前は“わかった”って言ったよね!?」
「・・・・・・」
「言葉に責任を持ちなさい。」
“絶対国立”
まぁ中退したときに俺が宣言しちゃったことでもあるんだけどね・・・。
しょうがないから、数学をやるしかない・・・・・・
勉強机の上を見れば「面白いほど」が3、4冊転がってる。
・・・今までにやり遂げた分の「面白いほど」だ。
それを無駄にしたくない気もした。もったいない。
「やってみるか」
そういう気持ちになった。
とりあえず、木下先生への申し訳なさがあった。
小テスト用意してくれたのに・・・
それから、木下先生が作ってくれた数学の“勉強計画表”を見れば、
ますます申し訳なくなる。
やろう!なんとかしよう!
つまり、昨日サボってしまった宿題をやるのがまず1つ。
そして宿題をちゃんとやっていれば、昨日の授業でまた宿題が出されたはずだ。
“おそらくこの辺が宿題になっただろう”という範囲まで自分で勝手にやるのがもう1つ。
こうすれば木下先生の勉強計画は元に戻るわけだ。
こう考えて、俺はその夜から英語などの勉強を停止させ、
3日間くらいほとんどすべて数学に時間をかけた。
すべてを投げ出して数学ばっかやってた。
間違いなくエ□心がそこにはあった。
かなり大変なことだったし、正直国語とかの勉強ペースは崩れたw
だけどなんとか、木下先生の授業に間に合わすことができた。
「先生、数学やってきました!」
前回の宿題の分と、その次の宿題(だっただろう)分をやってきたと先生に言った。
そしたらちょっと微笑んで
「すごい。え~、やってきたんだあ~」と言われた。
え~、やってきたんだあ~
みたいなことを言われて、特に褒められたとかそういうことは無かったけど、
この件はそれで収まった。
この事件の後、とにかく数学は木下先生に死に物狂いでついていくようにした。
「行ってらっしゃい」
お母さんは昼ごはんのため、毎朝おにぎりを持たせてくれた。
チャリで大きな橋をわたり、県道沿いをダーーッ!と走る。
駅前に出るとその近くに塾はある。
ダッシュでチャリをこいで20分くらいか。
結構この運動は好きだったw
塾の鍵を開けて、自習室に入る。
もちろん平日にこんなとこにいるのは中退してる俺だけだw
勝手に換気したり、エアコンを使うことも認められている。
木下先生の授業がなければ、とにかく晩まで勉強する。
英語、国語、世界史、政経、生物、そして数学。
やることはたんまりある。
木下先生に会えば、もちろん先生にちょっかいは出す。
そういえば木下先生とイケメン先生に会ったときにこういうことがあった。
「え?」
手相などわからない。
ただ、生命線とやらをなぞって、先生がくすぐったい反応をするか試したかっただけだ。
「あ~木下先生はコレ、長生きしますね?なんかこの線が長いっすから・・・」
ニヤニヤしながらツーーッと指でなぞってみたが、先生はあまり反応しなかった。
イケメン先生が俺の頭をはたく!パシッ!
「いってええ!」
「変.態じゃん笑」
「手相みてたのに!」
とまあこんな感じで毎日すごしていたわけです。
懐かしいっちゃあ懐かしい。
エ□=青春のエネルギー
「お疲れ様っす!木下先生!」
イケメン先生ほか2人の先生の存在を無視して俺はあいさつする。
苦笑いしながら「お疲れさま~」と言ってくれる。
あまり知らない女の先生が「このストーカーヤロウw」とか言ってくる。
その先生に「これってなんの集まりなんすか?」と聞いてみた。
「今日ね~これからみんなでご飯食べにいくから。」
「は!?ご飯ですか!?」
このヤロウ・・・
砂川先生と木下先生をストーキングしたときの感情がよみがえってきた。
「俺もご飯はまだです!」
「そっか。じゃね!」
「ちょっとまってくださいよお!!!」
俺はよく知らない女の先生に食い下がった。
「なんだよ!勉強しろっ!」
「俺も連れてって!」
「やーだー!帰れっ!」
このあとよく知らない女の先生にお願いしまくったら「ダメ」の一点張りだったけど
イケメン先生と木下先生が「まあ面白いんじゃない?」ってことで連れてってくれた。
なんかおごってくれて俺はタダになったw
こいつら大学の話とか恋愛の話とか俺にワカラン話ばっかしてた。
俺はひたすらもんじゃを食った。
「イケメンくんは彼女いんの?」
ある場面でよく知らない女の先生がイケメンに尋ねた。
「いやあ、いないっすよw」
俺は疑った。
「本当っすか~?一橋だしイケメンだし、モテるんじゃないっすか~?」
「いないいないw本当にさ、この先どうしようみたいな感じだよ」
まぁイケメンはどうでもよい。
木下先生って彼氏いんのかなあ?
砂川先生が彼氏なのかな?
それは以前からの疑問でもあった。
よく知らん女の先生が聞いてきた。
「ふふふふふ!どう思われますか!?」
「ああ~じゃあいいや。興味ないし。」
「ええっ!?」
そうすると木下先生が「え?興味あるよ!どうなの?」と聞いてきたので、
「いや~~~、そのね?」
「うん。」
「いたことないんすよ・・・」
と白状した。
そのあと木下先生が「彼氏いんの?」って聞かれてた。
砂川先生はどうなったんだ?あれが彼氏か?
「いや、いないですよ。」
「へ~そうなんだ~」
うおおおおっしゃwwwと思った。
「え?本当にいないんすか!?」
念押しで聞いてみた。
「いないよ~笑」
うおおおおっしゃwwwと思った。
「先生!先生!俺立候補するっす~!」と言うと、
イケメンは大爆笑、よく知らん女の先生は「なんかうざい笑」といった。
木下先生は苦笑いだった。
というと、「まぁ本当はダメなんだけど、いいよ」って感じで教えてくれた。
ある日、俺は塾仲間のゆうきと息抜きに遊ぶことにした。
日曜日だ。
何をしよっかってなったけど、俺は猛烈にボウリングがしたかった。
ボウリング場で働いていたときはしょっちゅうやっていたけど、
塾に入ってからはやってない。
忙しいのもあるけど、バックレたボウリング場に入りにくかった。
あとは単純に一緒にボウリングする友達がいなかったのもある。
とにかく、ボウリングが久しぶりにしたかったのでゆうきに提案するとOKされた。
場所は俺が働いていたボウリング場。
HPを見れば、俺がやめる原因となった店長はいなくなり、店長が変わってるのがわかった。
ただ、佐藤さんには会いたくなかった。
だから佐藤さんがシフトに入らない朝行くことにした。
朝なら高校生割引と朝割引がきくからゆうきにも都合がよかった。
朝なのになぜか佐藤さんがいた。
どういうことだよ・・・・・・
他のヤツはどうでもよかったんだけど、佐藤さんには会いたくなかった。
バックレたあと、俺は佐藤さんから嵐のようにかかってきた電話をすべて無視したからだ。
すごく帰りたかったけど、ゆうきにそんなこと言うわけにはいかなかった。
「お願いします」
受付の佐藤さんに、ボウリングの申し込み書みたいなのを渡す。
すると他のお客さんに対応するのと同じように「はい、2名様、タロウ様とゆうき様ですね」と言われた。
明るいけど、事務的な口調だった。
ともあれ、ボウリングは始まった。
ゆうきが「お前のカーブすごいな!」と褒めてくれた。
サムレスと言って、正式な投げ方ではないけど、俺はフック(カーブ)を投げられる。
スコアは調子がよくて160くらいは出る。
「どうやって投げんの?」
ゆうきは興味津々で、いろいろ尋ねてきた。
向こうから、佐藤さんが歩いてくる。
俺たちは目があった。
あいさつくらい、しておこうか・・・
あるいは、あのときバックレた理由を説明しようか・・・
以前の店長の嫌がらせで・・・とか。
どうしよう・・・。
佐藤さんはまっすぐ俺の目を見ながら歩いてきた。
俺は緊張して佐藤さんから目をそらした。
下を向いて歩いた。
やがて俺と佐藤さんはすれ違った。
佐藤さんは受付に戻り、俺はゆうきの元へ戻った。
このあと、佐藤さんと一言もしゃべらず、俺とゆうきはボウリング場を後にした。
また来ます!
お疲れ!こんな新展開が来るところで明日とは焦らすね~
待ってるぞ
保守
保守ありがとうございます!
ぶっちゃけ昨日は飲んでました!!・・・すみません!
今日は夜来ます!
はよ書けや!!気になってしょうがない
書いていきます!
木下先生に必死に食らいついていく。
個人的に“微分・積分”が山だと思っていた。
木下先生の助けもあって、ゼエゼエ息の根になりながらもその山を越えることはできた。
ただ、あくまでも“面白いほど”を1周できた、ということにすぎないけれど。
9月から始まる模試で何点とれるのだろう。
ある夜。
忘れたけど7時くらいから授業だった気がする。
6時30分ころ予習を終えて、廊下においてあるソファに腰かけリラックス。
するとゆうきがやってきた。
「よう!」
ゆうきは俺のとなりに腰かける。
エ□トークか何かをしていると、木下先生が講師室からやってきた。
「お疲れさま~!」
「お疲れさまッス!ウッス!」
そう答えると、木下先生は教室の中へ消えていった。
「なあタロウ・・・」
「なに」
ゆうきは声のトーンを落として俺に言う。
「木下先生さぁ・・・おっぱ〇デカくね?」
「・・・は?」
「いやいや、おっぱ〇デカくね?」
「・・・・・・でかいか!?」
「なんかさあ・・・巨.乳.じゃないけど、こう、ふくらんでるやん?」
「・・・そうか!?!?」
そんなことには気づかなかった。
「いやいや、今から授業だろ?ちょっと見てみって。」
「おま・・・んなこと言うなよ~!授業集中できねえじゃん!」
俺はソファの上で天を仰いだ。
「たっはっはっはwwウケるww」
(ゆうきコロス・・・)
こんなんセクハラだ。
正義の心をもって授業に挑んだはずだった。
(ゆうきブッコロス・・・!!!)
数式への集中力が普段の半分くらいしかない。
先生の机のところへ行き、説明を受ける。
そのときはとにかくおっぱ〇に目をやらないようにした。
そのためおっぱ〇を見ることは一切なかったが、異常なまでに目に力が入った。
脳みそが回らない!
いつものように前回範囲の類題のプリントをもらい、自分の席でそれをやる。
離れてみると、おっぱ〇が気になった。
チラっと見てしまうw
こんなにもおっぱ〇が気になったのは初めてだった。
でも遠くからじゃよくわからなかった。
でもおっきい気もする!
途中からはかなりのエネルギーを使って邪念を振り払い、集中できた。
「お前マジでふざけんなよ・・・!笑」
「たっはっはっは!!!www」
帰りにチャリに乗りながら俺はゆうきに抗議した。
「ヘンタイヤロー!笑 教育委員会に訴えんぞ!」
「ふっざっけんなよ!www」
俺は詳細を報告した。
「なんだろうな、こうさ、おっぱ〇を見ない努力をしたんだけど、
そのせいで逆におっぱ〇が気になったんだよ!!」
「おっぱ〇パラドックスと名付けよう!」
「え??」
「おっぱ〇パラドックスと名付けよう!」
「ぶはwww」
ゆうきがドヤ顔で“おっぱ〇パラドックス”を何回も連呼した。
正直うまいと思ったwww
こうして俺はときどきおっぱ〇に着目しながらも、
木下先生やゆうきに支えられ、受験勉強をした。
気づけば夏は終わり、模試の時期になった。
ところでーー。
俺がこうしておちゃらけキャラで木下先生とかゆうきとうまくいっているのはある人のおかげだ。
明らかに、柏木のおかげだと思う。
中学では俺は普通のやつだった。
高校で柏木とつるんでおちゃらけることを覚えた。
木下先生が俺を面白がってくれるのも、ゆうきと友達になれたのも、柏木のおかげだ。
「どこの大学にいくのかね?」
お母さんはたまにそういうことを言う。
そんなん、知らないよ・・・。
柏木を懐かしく思う。
感謝もしてる。
あの日々に戻りたいとも思う。
でももし仮に駅前で柏木を見かけたとしたら(塾と高校の位置関係から、それは十分ありえる)
俺はどのツラ下げて柏木にあいさつできるだろうw
お母さんから「柏木」の名前が出てくるたび俺は微妙な気分になった。
不快だったかもしれない。
9月か10月にセンター模試を受ける!
夏から、木下先生と俺はこの模試で点数を取ることを目標にしていた!
そんなころ、ゆうきがこんなことを言い出した。
「おっぱ〇バレーって、知ってる!?!?」
「wwwwwwwwwwwwww」
「タロウが“センター模試で数学100点取ったらおっぱ〇を見せてください!”って木下先生に言うみたいな」
「wwwwwwwwwwww」
そりゃ無理だろw
100点もおっぱ〇も無理だw
しかしこれをネタにしてなんか先生に絡んでみようと思い実行した。
「先生!」
「わっ!笑 いきなりびっくりしたあ・・・」
「お願いがあります!」
「なにー?」
「今度のセンター模試で、先生に教わった範囲を、8割、、、いや7割、、、いやっ6割!!、、、とります!」
「どんどん減ってくよ!笑」
「だから、俺が6割を取った暁にはっ、指相撲をしてください!」
「なんで指相撲!?!?」
「1回先生とは戦いたいと思ってたんです!・・・師匠と弟子として!」
「・・・???・・・まぁ・・・別にいいよ。減るもんじゃないし・・・」
「よっしゃ!」
先生は苦笑いした。
「ただ、8割ね!8割!習った範囲だけなんでしょ!?」
ゆうきにこのことを報告すると「グッジョブすぎるw」と言われた。
「フン!ヤツは気づいていないのさ。この約束は手相を見ることと同じカラクリをもつというのにな!」
しかしセンター模試では6割弱しか取れなかった。
「・・・・・・・・・」
「次がんばろう!まだ模試あるから!切り替えて!」
木下先生は俺を鼓舞してくれた。
例えばある国立ではB判定をもらえた。
ただ、その国立にしてもセンター数学に若干の傾斜がかかる(方式によるけど)
結局数学がけっこう大事なんだ。
11月になった。
ゆうきがお茶の水女子大の文化祭に誘ってきた。
「木下先生みにいこうぜ!」
「おっけw」
1秒で返事をした。
その後、ゆうきの塾の知りあいに“かなこ”っていう女の子がいて、
その子も来ることになった。
俺は「女の子ならおっけだよw」とゆうきに言った。
お茶ノ水の文化祭当日。
集合場所に少し遅れて到着した。
「ゆうきごめんw」
すでに“かなこ”はいた。
「えっと、かなこちゃん、だよね?」
喋ったことは無かったけど、顔は知っていた。
「うん!タロウくんだよね!?塾でよく見かけるよねーー!よろしくー!」
こうしてわれわれ3人はお茶の水女子大へと旅立った。
今電車だが脱ぐべきか
脱げっ!
あとすごい今さらなんだけど、セリフとか結構適当だし、
時系列不明なところは構成上都合よく並べたりしてるからね。
フェイクとかはほぼない。
満員電車で手が動かせん
チャックだけでも・・・
木下先生「だいじょうぶ・・・できるっ!がんばってっ・・・」
「タロウくんって木下先生のストーカーだよね!?」
「ふえっ!?!?」
かなこが言ってきて、たじろいだ。
「俺ってそんな評判悪いんだ・・・」
ゆうきが口を挟む。
「タロウはヘンタイだもんなw」
「お前だっておっぱ〇とか言ってるだろうがあ!」
するとかなこが「え!?おっぱ〇ってなに笑」と言ってきて、
(しまった!・・・)と気づいた。
ここは男子校じゃない!
かなこはお茶の水大の志望だという。
「正直、E判定だから記念受験なんだけどね・・・・・・」
ゆうきが俺とお茶の水の文化祭に行くことを知り、
「何でわたしを誘ってくれないんだよお!」と言って、来ることになったらしい。
お茶ノ水女子大の正門から入ると、女子大生がパンフレットを俺たちに渡してくれる。
わりかし自然が豊かだった。
女の子が多い、多い!
右にも左にも屋台があって、俺はとり軟骨のから揚げを買ったw
テンションは高めだったw
「ゆうき食うか?かなこちゃんもどーぞ!」
「本当!?わーい!」
ナンコツを3人で食べて、ゆうきが言った。
「まず木下先生のとこに行こうぜ!」
「おうっ!」
木下先生はテニスサークルに入ってる。
パンフレットをみて、そのテニサーの店へ向かう。
木下先生を発見した!
「ちゃっす!w」
「あ~タロウくん!ホントに来るとは!w」
「ここが第一志望なんですw」
テニサーには男もいたw
「ああ、ウチはインカレだからw」
メガネかけた小太りの男が木下先生と馴れ馴れしくしていて、ムカっとしたw
まぁなにもしなかったけど。
先生が自分の店で売ってたチョコバナナを俺たちに一本ずつくれた。
「おごりだよ~!」
それを食べながら俺たちはテニサーの人たちと喋った。
かなこはなんか木下先生と初対面らしく、すごい先生に懐いてたw
お茶の水志望だからか。
随分と長く話すから俺とゆうきは飽きてかなこを置いてった。
3時間くらいかな。
演劇部をみたり(本格的でビビった)マンドリン演奏を聞いたり(普通にうまくて耳が癒された)ミスコン(レベルたけえw)をみたりしてた。
けっこう楽しめたw
お茶の水に東大とのインカレがあったりして「やたらレベル高えなw」と思った。
かなこと合流。
彼女は木下先生に案内されてずっと一緒だったらしい。
「木下先生超いい人~!かわいいし~!」
とか言ってめっちゃ懐いてたw
「楽しかったなぁ!ここ来たいなぁ!」
やたらかなこが楽しそうで、なんだか微笑ましかった。
「え!?テニス好きなの??」
昼休憩か何かで廊下のソファでグダグダしてたら、かなこがやってきて、雑談した。
「ウチWOWOWあるからね~」
四大大会とかはたまに見る。
かなこはそういうプロのやつは知らんかったけど、テニス部だったからテニスの話が合ったw
けっこうガチでやってたらしく、練習の話とか、試合の話とかしてくれた。
「私、サーブが難しくてね~!」
元新聞部のおれにしても新鮮な話だったから楽しく聞けたんだ。
文化祭をきっかけに、かなことはたまに話す間柄になった。
お茶の水の少しあとにセンター模試があって、自己採点。
数学1・Aは40点くらい。
数学2・Bは30点くらいだった。
俺はとうとう塾をバックレた。
このときまだ2次関数と三角比のところしかやってないからw
論理のところと、確率はまだやってなかった。
致命的なのは数学2・Bだった。
木下先生のカリキュラムを進めていて、もうこの頃には2・Bは全部終わってた。
三角関数や微積は絶対に後半くらいで詰まるし、
ベクトルと数列なんてそもそもといている途中で基本を忘れていたりする。
「センター模試は簡単に作られている」
塾長だかなんかの先生だかが言ってたことだ。
これじゃヤバイだろw
絶望した
先生の要求は日々膨大になる。
だけどそれについてかなきゃ俺は国立にいけないんだ!ってね。
だけど11月くらいに確率あたりに入ってから、限界が来ていた。
復習課題としてだされる数列とベクトルは忘れまくりだし、確率もいみわからんw
確率っていうか場合の数がわからんかった。pとかcとかのやつ。
とうとう崩壊して、宿題をやらずに行った。
「先生、すみません今回は・・・」
「・・・・・・・・・」
先生はこういうとき、必ずこういう態度を取る。
そして先生の次の授業もサボり、
さらに3日連続で塾の自習室にも行かなかった。
お母さんに言うと、「今までがんばったのにいいの!?」とか
「あんた家じゃできないでしょ!!」とか怒鳴ってくる。
実際に家じゃ全くやらんかった。
数学以外はやろうと思ったが、それすらやる気にならなかった。
ボウリング場で稼いだ金が余ってて
バッティングセンターで4000円くらい打ったり
人生初のヒトカラしたりした。
そんな生活を数日続け、お母さんと怒鳴りあいのケンカ。
さらに塾長からケータイに嵐のように電話がかかってきたけどそれを無視。
すると家電にもかかってきて、お母さんが出て、
「いい加減にしなさいよ!!!!!!!」
「わり、忙しいから無理だよ。」
友達はゆうきくらいしかいなかった。
しょうがないから弟を誘ってボウリング場へ。
「タロウ、タロウ弟」とボウリング用紙に書いて、受付の女に渡す。
佐藤さんだ。
「はーい。それじゃ、27番レーンでお願いします。」
きわめて他人。
かつての姉弟のような俺たちはいない。
でもどうでもいいよ。そんなん。
弟の金がつきても俺の貯金はかなりあったから、
俺が弟の分も払う形でお金をつぎ込み、気づいたら25ゲームくらいやった。
すごいスカッとした
お母さん「一日中どこいってたのよ!!!!!!」
イケメン先生からメールがきた
「最近来てないの?」
「すみません、ちょっと休みたくて・・・」
イケメン先生からは着信もあった。
木下先生からは何のメールもなかった。
飯だ!
とりあえずいまから書くわ
たぶん終わりまでいく
おもしろいよ、期待してます!
イケメン先生と何通かメールした。
「大丈夫?なんかあったの?」
「素直に言うと、数学がちょっと・・・」
イケメン先生も前は俺の師匠だったわけだけど、
最近数学がうまく言っていないことを説明した。
「そっか・・・!」
「正直もう、ムリかなあって・・・」
「木下先生にこのこと話したの?」
「いえ、まだ。あの人こういうときどっちかっていうと、突き放すっていうか・・・」
「そうなん??へえ、意外・・・。」
「そうなんすよ」
「木下先生めっちゃ心配してるよw」
「え?そうなんすか?」
「俺と会うたび、タロウくんの話してるw」
(はー、まじかあ・・・・・・)
なんだか申し訳なくなった。
俺の実力不足で。
イケメン先生に「明日にでも塾戻ります」っていってメールを終えた。
塾長に週一回は相談してたんだけど。
今回のサボリでそれは崩れたわけだw
イケメン先生にメールしたその夜、おおざっぱな計画を組みなおす。
数学。
これも崩れてしまった。
しかも数学のスケジュールは木下先生が決めている。
木下先生に電話した。
「もしもし?タロウくん?」
「すみません、無断で授業サボって・・・」
「ああ、うん・・・。やっぱり、数学が厳しかった?」
「はい・・・。正直なところ、もうダメかなって。頭がごちゃごちゃなんです。」
「そっかw・・・・・・でも、大丈夫だよ。もう一回やり直そう!」
「はい・・・」
すげえ落ち込んだ。
春からなんの成長も無いと思った。
とりあえずその日はなんの勉強もしなかった。
夜に普通に布団に入る。
明日授業に行くために。
布団の中で考えたことは木下先生と数学のことだった。
数学は、昔より全然できるようになったと思う。
少なくとも、面白いほどを理解はできるようになった。
ひとりでも。
エ□心をむき出しにして木下先生についていった結果だと思う。
木下先生は明らかに他の生徒よりも俺に力を入れてくれた。
いろいろな冗談を言ったこと。
それに苦笑いしてくれたこと。
その顔。
一生懸命に指導してくれたこと・・・。
イケメン先生によれば、俺がバックレてそれを心配してくれたこと・・・。
etc・・・。
いろいろ考えてたら、大好きな先生を裏切るようなことをしたな、と思って涙がでてきた。
いろんな表情の先生を頭に思い浮かべてたら、思った。
(告白しよう・・・。)
告白しよう!と思った。
具体的に誰かに告白したい!と思ったのは人生初だった。
こんなんしてるの、俺だけだからなw
みんな高校通って自立してんだw
情けない。塾にこんなことしてもらうなんて。
木下先生にもすげえ謝った。
「ぜったい、ぜったいもうバックレないでね?」
「・・・はい!!!」
その後木下先生が俺を甘やかすことはしなかった。
課題やらなにやらは相変わらず厳しかった。
でも俺はそれを了承した。
必死で必死でついていった。
自分のヤバさはもう充分模試でわかったw
とにかくがむしゃらに。
一日8時間数学のみに費やす日もあった。
とにかくくいの無いように。
先生に認められるように!という気持ちで勉強した。
なんとか木下先生に食らいつき、全範囲終了。
復習(2週目、3週目)もある程度進み、センターの演習に入った。
数学1・Aは8割を超えることがあった!
数学2・Bは相変わらずヤバイとしかいいようがなかったけど・・・・・・
いい点数を取ったときには木下先生はすげえ褒めてくれたな。
「すごいよお・・・!」って
木下先生は御茶ノ水の理系だし、こんな点数は普通だろうなww
って思ったけど、やっぱ嬉しかった。
センター試験を迎えた。
最後の指導の日。
木下先生は俺にマークシート用の鉛筆セットをプレゼントしてくれた。
コンビニで買ってくれたらしいんだけど、わざわざラッピングしてくれたんだぜw
鉛筆数本と、削り器と、マークシート用の消しゴムがプラスチックケースに入ってるやつ。
「ありがとうございます!!!」
嬉しくって、泣きそうだった、が、それは堪えて
ある要求をした。
「指相撲をしてくれませんか??」
なんとなく。
「なんで指相撲なの!?笑」といつものように苦笑いする先生。
かわいい。
実はバックレ事件を起こしてからは先生に対しておちゃらけるのは自粛していた。
久々に先生の反応を楽しんで指相撲をした。
意外と先生が本気で対応してきたのが面白かったw
ムキになって顔をゆがませてがんばる先生はかわいかったw
「じゃあ、がんばってね!」
「はい!!!!一年間お世話になりました!!」
すごい深く頭を下げて、塾を出た。
数学は2日目だよなw
1日目のアタマの政経が一番緊張したけど、数学になって再び緊張したのを覚えている。
だってこれが入試を左右するんだから。
俺の場合。
相変わらず・・・
イヤいつも以上に・・・
微分積分の後半部分とか・・・
三角関数の少しひねった問題とか・・・・・・
毎回そういうところで俺は詰まるんだ。
そうすると苦しいんだよな。
センター試験って。
しかも先生のプレゼントしてくれたマークシート用セットを見れば、
ますます点数を取りたくなってくる。
緊張して緊張して・・・
アタマがパアになりそうだった。
とにかく、3点でも4点でも、できそうな問題をといていった。
緊張したまま試験は終わってしまった。
正直、うまくいった気がしなかった・・・。
数学1・Aは演習では8割取ったこともあるけど、今回は絶対ありえない。
6割いけば御の字だ・・・。
2・Bなんてどうなるんだろう・・・・・・。
すげえ暗い気持ちで家に帰った。
夜中に河合塾のサイトを見ると、回答速報が載っている。
ドキドキしながら自己採点した・・・・・・・・・。
数学1・A
68点
数学2・B
42点
これで俺と木下先生の挑戦は終わった。
数学から採点したのが間違いだった。
他の科目も採点して、900点満点で74.4%という結果がでた・・・。
思ったより他の科目で伸びて、安心した。
74.4%
よくも悪くも無い、
2次次第?みたいな結果だった。
ごめん、順番を間違えたかもw
センターの前か後か忘れたが、
中退した高校に書類を取りに行かなくてはならなかった。
高卒認定を取るときに、俺は1年のとき高校にちゃんと通ってたから、認定試験で免除がおりた。
そういう場合、ある私立の出願とかある国立の出願のために高校に書類を取りに行かなくてはいけないんだよw
正直気が進まない。
「あー了解。そしたら○○時に来て。」
家からチャリを転がして、高校の駐輪場にチャリをとめた。
在校生はいるのだろうか・・・
職員室いきたくねえな・・・と思った。
なんで職員室は3年と同じ階にあるんだw
新聞部のやつに会いたくない。
いやーな気持ちで行ってみると、3年生の教室はがらんがらんだったw
M先生は「ああ~いまはそんな感じよw センター後の面談みたいのはやっとるけど」
って行ってた。
「タロウもしっかり大学受験してたんだな!!!70%とるなんてな!」
(センター後だな・・・この会話したからwww前後2回行ったかも。まあどうでもいいかw)
「がんばれよ!」って言われた、俺は駐輪場へ向かった。
たぶん間違いないと思う。
あれは柏木だった。
柏木は俺のよく知らんやつと一緒に駐輪場のチャリにまたがって、だべってた。
どうしよう・・・・あいさつとかしようか・・・・
いや!する!
緊張した・・・。
でもなんだか脚がすくんだ。
そうすると柏木とよく知らんやつは俺の方を見た。
(ねえあれってさ・・・)
よく知らんやつのほうが、柏木に俺の聞こえないくらいの声でそういってる気がした。
ドクンドクンした。
どうだろう・・・。
柏木は俺をよく思ってないだろう・・・。
中退したときに心配してくれたのを無視したんだから・・・。
どうだろう・・・。
(いこうぜ。)
柏木はよくわからんやつにそういったように聞こえた。
(え?いいの??)
柏木はチャリを動かして
(いやいや笑 いこうよw)
みたいなことをしらんやつにいった。
柏木たちは行ってしまった。
これ以来、今に至るまで柏木には一切あっていない。
正直に言えば、この時期はすごーーくラクだったw
数学がないのだからw
木下先生に会うこともなくなった。
たまにろうかで会うくらい。
センターの数学の結果を伝えると「よくがんばったよお・・・!」と褒めちぎってくれた。
数学で200点中110点。
理想的な点数じゃないけど、先生のおかげで前期入試への望みをつないだんだ。
3月アタマころ、前期入試の結果が出たんだと思う。
俺はなんと 合 格 した。
「よくがんばったねえ・・・・・・うっ・・・うっ・・・」
別に高校行かなくても大学に行くルートは存在する。
そういう気持ちでいたけど、お母さんはそうじゃなかったんだよな。
常に心配してくれたし、こんな俺のために毎日おにぎり握ってくれた。
俺は長男だし、お母さんたちも大学には行っていないから、いろいろ初めてで不安だったはずだ。
お母さん、ありがとう・・・!
そういうようなことをお母さんに伝えた。
祝い事の時には、へそくりでごはんに連れて行ってくれるのがウチのお母さんだ。
合格発表当日、おいしいものを食べさせてもらった。
自分がヒーローかなにかになったみたいで幸せだった。
相模原キャンパス。
いまでもたまに飲む仲だ。
かなこは前期で御茶ノ水を受けたかったが、高校の担任がそれを認めず、
ランクを1つ落として、俺と同じ大学を志望した。
前期で不合格。
後期で合格した。
後期入試が終わって、その結果まちをしているくらいの時期のことだ。
塾で祝勝会が行われた。
会場に行くと、外で先生たちがスーツを着て待機している。
無造作にうじゃうじゃと先生がいる中、俺は木下先生を発見した。
「木下先生~~~!」
合格はすでに報告してあるしメールもしているけど、俺は木下先生に
万感の思いで抱きつこうとヨタヨタと歩きながら両手を広げ先生の方へ向かった。
「キモイww」バシッ!
「いてええw」
よく知らない女の先生に脚をけられた。
祝勝会では先生たちがAKBのダンスをしてくれたり、
塾長がギターを披露してたりして楽しかったw
俺はパーティの間中、木下先生にべったりしてたけど、
途中からイケメン先生や、塾長。
話相手になってくれたほかの先生、
そういう人たちと喋ったり、感謝したりした。
もちろんゆうきとかなこだ。
俺は1つ決めていたことがあった。
ウチの塾では、合格者は合格体験記を提出し、その時にお世話になった先生と写真を撮る。
どー考えても俺の場合、木下先生とだ。
そのときに、告白しようと!
ゆうきが言った。
「タロウ・・・!」
「なに?」
「あのさ、木下先生さあ・・・」
「うん」
「イケメン先生と付き合ってる・・・って。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・???」
かなこが
「マジで・・・!?」と言った。
ゆうきが
「いや、本当、さっきさ、タロウが○×先生と長いこと喋ってたじゃん。
その時に、2人から聞いた・・・。」
アタマが空になった。
かなこが「え、タロウってさ・・・先生のこと好きだよね・・・?」という。
「うん・・・。」
ゆうきが言った。
「なんかさ、すごい最近付き合い始めたらしい。前期入試のころとか、その辺だってさ。」
マジかよ・・・・・・・・・
市民会館からちょっと離れたところに図書館があるんだけど、
その図書館の入り口の石段??みたいなところに3人で座って、
俺の慰め会みたいになったwww
失恋会ww
ゆうきとかなこと別れて、俺は1人でぼうっとした。
意味もなく駅前のマックに入ったり、もう受験生でもなんでもねえのに参考書コーナーに入ったり、
とにかく意味もなく足を動かした。
すごい夜になった。
もうそろそろ帰ろうか・・・・・・。
駅へ向かうと、高校の先生を発見した。
書類取りに言った時の、M先生。
すっごい偶然だった。
「タロウ!どうだった!入試は!」
「おお!やるじゃん!よっかた!本当によかったよ!!」
「ありがとうございます・・・・・・」
「なんか元気ないっていうか、顔色変だぞ?」
「ああ・・・ちょっと・・・今日失恋しまして・・・」
軽く出来事を話した。
先生に恋した。
先生は他の先生と付き合ってた。
失恋した。
「そっかwそれで落ち込んでんのかw」
ため息を吐き、また頭がぼうっとする。
そうすると先生は
「お前!いいカオしてるよ!!!そのカオなら次はモテるよ!!」
みたいなことを言った。
むしろ叫んだ。駅前なのに。
そうなのかな?って思えてきて「ありがとうございます」って言って先生と別れた。
でも実際どうしよう・・・・・・
はああ・・・
そんな感じで帰宅した。
合格体験記もってって写真撮るまで待ち切れなくて、祝勝会の次の日にメールした。
「先生、一年間おせわになりました。」
「最後に先生に言いたいことがあります、塾に来てくれませんか?」
こんなメールだったと思う。
誰にも相談しないで書いたメールだ。
フラフラのアタマでなw
先生からの返信はこなかった。
次の日もこなかった。
その次の日のことだった。
これは明確に覚えてるんだけど、俺が自宅でウ○コをしているときにメールを受信した。
「いいよ~^^ じゃあ、○曜日に塾来れる?」みたいなメールがきた。
塾の外で先生と待ち合わせた。
さすがに塾の中で話せる話じゃない。
「先生、よければご飯でもどうですか?」
「いいよ。行こうか。」
ちゃんとしたところで話したいと思って、俺は駅近くに立つホテルの1Fでビュッフェみたいなのを
一般客向けにやってるんだけど、その店をHPでチェックしていた。
最後くらいちゃんと話したいと思ったんだ。
3000円かかったけど。
「俺、昔バイトやってて、金は腐るほどあるんです・・・。だからお金は気にしないでいいですよ」
「そうだね、ここにしよっか!うわ~おいしそ~~!」
よく考えたらこんな環境で告白なんてできねえよなwと思った。
実はその日、朝から暗い気分だったんだ。
だけど実際に一緒にご飯食っておしゃべりしてると、イケメン先生が彼氏なことなんて忘れてしまうw
没頭してしまう!
やっぱこの人が好きで、楽しくて、幸せだった。
いろんな話をした。
ゆうきのこと、かなこのこと。
4月からの俺と木下先生のこと。
2回もバックレたこと笑
そしてイケメン先生を離脱して木下先生になついたことww
この話のとき少し気まずくなったww
料理はおいしくて、
先生はかわいくて、
俺は楽しくて、
そういう時間はすぐ終わった。
会計は「俺が勝手に誘ったからいいっすよw」
っていったけど割り缶になった。
ホテルを出た。
なんかエントランス?みたいなとこだ。
幸い入ってくるときにいた、ボーイみたいなやつはいなくて、人気も無かった。
そこで告白した。
「木下先生・・・俺ずっと、」
先生の顔をまっすぐみた。
ずっと、の途中で泣いてしまった。
言葉をとめると、
先生も泣き始めた。
ああ、なんでイケメン先生が、
あんないい人に勝てるワケないじゃないかw
よりによってなんであの人だw
ぐずぐずになりながら、涙混じりに言い切った。
「俺、ずっと先生のことが好きでした・・・ぐずっ・・・」
先生は涙をぬぐった。
「ありがとう・・・!ごめんね・・・!」
先生は俺を見る。
すごい泣いてたw
「あの人には勝てないなw」
そういって笑ってみると先生も笑った。
「行きましょうか・・・・・・」
俺たちはホテルを離れて、歩き始めた。
木下先生はそういった。
俺もそうしたかった。「いいっすよ」
そのホテルの別の入り口に入り、なんかイスに座った。
幸いそこにも人はいなかった。
グダグダと雑談した。
先生はその中でこんな話をし始めた。
「ねえ、塾講師ってさ、なんで生徒に教えると思う?」
「そうそう、あのね、気持ちを教えてくれたから、もう今日は私も思ってること全部話すよ笑」
「はい笑」
「正直さ、お金のためなんだよね。塾講師ってあんま儲からないんだよ。」
「そうなんすか?」
「正直、飲食店でバイトしてる友達のほうがうまくお金稼いでるなあって思うよ。」
先生は続けた。
「真剣にやるとさ、結構先生自身も予習が必要だったりして、大変なんだよね」
「ああ~俺には特別にプリントまで用意してくれましたもんね・・・・・・」
「そうだね笑」
「あれって塾長の指示でしょ?」
「まあそうなんだけど、タロウくんはさ、他の生徒よりもすごく素直に、熱意ある感じで付いてきてくれるんだよ」
先生は続けた
「だからさあ・・・そういうことも苦じゃなかったな・・・。
正直、みんな先生たちもさ、手抜いてるんだよ。だけどタロウくんには、キチンとしたかったんだあ・・・」
「本当にありがとうございます」
俺はエ□心で先生についていっただけだ。
それがこういう風に解釈されたわけで、なんか微妙だったけど、
先生にとって俺は特別な生徒だとわかりうれしかった。
「ありがとうございます!」
その後、駅へ行った。
俺はチャリだから電車には乗らない。
「じゃあね」
そういって、改札を通る先生を見送った。
先生は俺を振り返った。
俺はポケットに手を突っ込んで、真顔でそれを見つめた。
先生は俺の方をみながらも、歩いて、消えていった・・・。
俺はボウリング場でアルバイトをしていた。
電話をかけるところからやり直しw
その電話には佐藤さんが出て「とりあえず面接きな」と言われた。
面接には新店長と佐藤さんがいて、バックレについて猛烈に謝罪した。
店長のほうは「まあそのバックレはしょうがなかったんじゃない?」って言ってくれたけど、
佐藤さんは微妙な顔をしていた。
「次はないからな?タロウ!!!」
「はい!すみませんでした!」
そう佐藤さんに約束して、俺はボウリング場のバイトに復帰した。
すごくシフトにたくさん入った。
理由は大学生になるから服を買うかねが欲しかったのと、ギターが欲しかったw
俺が呼んだのだ。呼んだっていうか、そうなったんだけど。
「木下先生に告白した」って言ったら、「やり切ったじゃんw」と言われて「えらい」と褒められた。
「失恋会しよう」っていうから、「ボウリングのバイト忙しい」って言った。
「ヒマでしょ~?遊ぼうよ~」っていうから、「じゃあボウリングしよう、俺がバイト終わる頃にボウリング場に来て」と言った。
「お前全然ボウリング興味ないじゃんか!」
いざボウリング場に来たかなこはゲームセンターコーナーでひたすらはしゃいでた。
たいこの達人とかエアホッケーとか、クレーンとか。
佐藤さんがゲームセンターコーナーにやってきて、俺にこういった。
「かわいいじゃん。彼女?w」
「そんなんじゃないっすよw」
こうしておれは佐藤さんと前のように姉弟のような関係に戻れたのです。
~大学受験のとき女子大生に弟子入りした話~
おしまい。
その後の話もちょっと聞かせてくりゃさんせ
その後気になる
とても面白かったよ~
特に先生との別れのシーンなどは格好良かった
俺も暇ができたら過去話を曝そうかとおもう
>>1みたいに格好良くはないけどねW
>>1thx
すげぇ面白かった